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【書評&要約】完訳 7つの習慣 人格主義の回復

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この本では、ビジネス・プライベートにおいて自分が最も大切だと思うことにより深く、より効率的に取り組めるようになるための「7つの習慣」を提示しています。

とても有名な書籍で多くの方がブログやYouTubeなどで解説しています。

私も遅ればせながら完読し、公式研修の受講を通じて、2021年で最も印象的な一冊であり、今後の人生の教訓にしておきたい一冊であると感じました。
ここで書籍・研修から学んだことをまとめ、自分自身の「ミッション・ステートメント」を宣言しておこうと思います。

『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』

本の概要

元はアメリカで出版されたもので、原著の初版は1989年と30年以上前の書籍です。

1996年に日本語に翻訳され、全世界で3,000万部、日本でも累計200万部を売り上げた世界的なベストセラーです。

ページ数は約500ページと、辞典ほどもある非常に分厚い本です。

1日でざっと読み終えるような本ではなく、じっくりと数日~数週間かけて読み進めていく本だと思います。

本の構成

第一部 パラダイムと原則

第二部 私的成功

第三部 公的成功

第四部 再新再生

タイトルの通り、全体を通じて7つの習慣を順番に解説していくのですが、まず第一部で全体を通して語られる原則を説明しています。

第二部では、第1~第3の習慣を、

第三部では、第4~第6の習慣を

第四部では、第7の習慣をそれぞれ示しています。

必ずしも第1の習慣から始める必要があるわけではなく、どの習慣から初めても良い効果が期待できるので、自分に刺さったところから読み進め、実践すると良いと思います。

本の要約

パラダイムと効果性の原則

冒頭の通り、7つの習慣はビジネス・プライベートをより深く、効果的に取り組むための考え・手法を提示してくれているのですが、その大前提としてその効果性の根源は「強い人格(=人となり、考え方)」にあると、著者のコヴィー氏は言います。

そして、人格には3つのステップがあり、7つの習慣を通じて成長していくものだと説明しています。

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(出典)フランクリン・コヴィー・ジャパン 『7つの習慣』【成長の連続体】

3つのステップとは「依存」「自立」「相互依存」です。

まず私たちは「依存」状態にいます。自分の人生を幸せにするのも、不幸にするのも他人次第。
周りの環境に流され、時に誰かのせいにして生きている状態です。

第1~3の習慣を実践し「私的成功」を手に入れて、次のステップである「自立」状態に進みます。
自らが主体的に行動し、自分自身の幸せ・成功を手に入れることができている状態です。
ただコヴィー氏はここをゴールに定めていません。

第4~6の習慣を実践し「公的成功」を手に入れて、最終ステップの「相互依存」状態に到達します。
誰かと協力しながら、自分ひとりでは無しえない大きな幸せ・成功を手に入れている状態です。

最後に第7の習慣で、第1~6の習慣を実現可能にし、高めていくことになります。

習慣を変えるには、パラダイム(=自分が世界をどう見て、どう理解・解釈しているか)を変え、ラクティス(=実践、練習、習慣的な行動)に移し、その結果を受けてまたパラダイムを見直していくというサイクルを回す必要があります。
このサイクルを「効果性の原則」と呼び、各習慣のテンプレートとなります。

第1の習慣:主体的である

 パラダイム
  私には選択の自由がある、自分の幸せの責任は自分自身にある
 プラクティス:
  1.一時停止して、原則と望む結果に基づいて反応する
  2.主体的な言葉を使う
  3.影響の輪にフォーカスする
  4.流れを変える人になる
「自分が幸せになれないのは他人・環境のせいだ」というパラダイムではいつまでも幸せになれません。
まず「自分の幸せの責任は自分自身」だというパラダイムシフトを起こす必要があります。
 
言葉だけみれば「そうかもね」というものですが、衝撃的なのは「誰かに怒られたり、悪口を言われて悲しんだ・怒ったというのも自分自身のせい」というものです。
他者の行動に対して、悲しむ、怒るという選択を自分自身がしたんだと解釈します。
他者の行動と自分自身の反応は直結しておらず、その間には「選択の自由」があるのです。
そのための具体的な方法として、自分が影響を及ぼせる範囲(=影響の輪)にフォーカスせよ、とコヴィー氏は言います。
 
私自身は、あまりカッとなるタイプではないので比較的感情コントロールは出来ていると思います。
しかし、他者や環境など影響の輪の外にあることで悩みがちかもと気づきました。
何事にも自分ができることにフォーカスし、常に冷静に主語を「私は~」にして主体的に臨むことを意識したいです。

第2の習慣:終わりを思い描くことから始める

 パラダイム
  人生のビジョンと目的を明確に描くことが違いをもたらす
 プラクティス
  1.結果を明確にしてから行動する
  2.個人のミッション・ステートメントを書き、それに従って生きる
ここが個人的には一番印象に残った習慣です。
 
より効果的に生きるために、まず自分が何を大切だと思っているのかを明確にする、というのがここのトピックです。
そのために自分の葬式(または80歳の誕生日)に、周囲からなんと言ってもらいたいのかを想像せよ、とコヴィー氏は言います。
 
「お金持ちだったね」「かっこいい服着てたね」「女の子にモテてたね」
そんな言葉ではないはずです。私も実際に想像してみると、
「一緒にいて楽しかった」「おかげで○○できた」「目標にしたい」
という言葉で、他者にポジティブな影響を及ぼしたいという気持ちがあると気づきました。
中長期的にみると、目の前にある個別のプロジェクトの成否がすべてではなく、それを通じて誰かに社会にどうポジティブに影響を及ぼせたのか、が重要なのだと認識しました。
 
その思いを「ミッション・ステートメント」という個人憲法に明文化せよ、というのがここでの具体的な方法です。
このブログの最後に私自身のミッション・ステートメントも宣言したいと思います。

第3の習慣:最優先事項を優先する

 パラダイム
  重要なことに時間を使う
 プラクティス:
  1.最優先事項にフォーカスする
  2.重要でないことは無くす
  3.週間計画を立てる
  4.選択の瞬間にこそ自分に忠実でいる
この習慣のタイトルは、当たり前のことを言っています。
ですが「案外みんなできていないよね?」というのがコヴィー氏の考えです。
 
縦軸に重要度、横軸に緊急度を引いて、日々の行動・タスクを4象限に分割してみます。
 
重要かつ緊急の第1象限は誰でも実施します。ポイントは右上の第2象限です。
例えば、自己研鑽や家族とのコミュニケーションなどがここに入ってくると思います。
この第2象限にどれだけ時間を割けるかが人生を大切にするポイントなのです。
そのための具体的な方法は「週間計画を立て、まず第2象限のタスクから入れていく」というものです。
また、重要ではない第3、4象限は人に任せる・断るなど、出来るだけ無くすことも心がけます。
 
では、何が重要タスクなのか?という判断が必要になりますが、その時の基準が第2の習慣で立てた「ミッション・ステートメント」です。
死ぬときにこうなっていたい、というゴールに至るためのタスクこそが重要なのです。
 
これを受けて、私も2021年12月から毎週初に週間計画を立てるようにしました。
その中には自己研鑽やこのブログのようなアウトプットの計画、家族との時間を第2象限のタスクとして意識的に入れ込むようにしています。
また週末にはどれだけ達成できたのかを振り返り、翌週の計画に繋げています。

第4の習慣:Win-Winを考える

 パラダイム
  すべての人が満たされ、分け合うことができるほど十分にある
 プラクティス:
  1.豊かさマインドを持つ
  2.勇気と思いやりのバランスを保つ
  3.自分のWinと同じように他の人のWinも考える
  4.Win-Win実行協定を結ぶ
ここからは「公的成功」に向けた習慣です。
公的成功とは、みんなで何かを成し遂げるというものなので、自分ひとりが成功するのではなく、関係者全員が成功、すなわちWin-Winになる必要があります。
 
人間関係におけるWin-Winの根本には、全員が満足できる方法は十分にあるという考え方があります。
誰かが勝者になったからといって、そのために他者が犠牲になって敗者になる必要などないのだと考え、これが「豊かさマインド」です。
 
例えば、友人が結婚して幸せそう、同僚が自分より先に出世した、とします。
だからといって自分自身が犠牲になるわけではないはずです。
ただ、今の学校教育を通じて、成績の順位付けや大学の序列など人間関係に対する「勝ち負け」のパラダイムがこびりついている気がします。
今の日本において「豊かさマインド」を持つことは案外難しいことです。
一朝一夕で変えられるものではないので、日々意識しておく、という他ないと思います。
※ちなみに私は学校教育で成績に順位付けすること自体は賛成派です。学校成績という1つの評価軸で全てを判断しないことが重要だと思っています。
 
では、相手のWinとは何だろう?となりますが、それを解決するのが次の習慣です。

第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される

 パラダイム
  まず相手を心から理解することで、その人に大きな影響を及ぼすことができる
 プラクティス:
  1.共感による傾聴を実践する
  2.相手を尊重しながら自分を理解してもらう
他者とお互いのことを知りあうために、自分のことを一生懸命主張するのではなく、まず相手のことを傾聴する、というものです。
自己主張が激しい人は「この人は自分のことばかり考えているんだな」と相手に信頼されません。
 
この習慣では、相手の話をどのように聞き、明確化していくのかかなり具体的な手法が説明されています。
ですがコヴィー氏も「第5の習慣が一番難しい」と言っており、ふと気づくと「自分の時はこうだった、自分はこう思っていた」と自叙伝的な話し方になってしまいます。
これでは自己主張しているだけで傾聴になっていません。
相手のことに興味を持ち、心をその人に向けて会話するという意識が重要です。

第6の習慣:シナジーを創り出す

 パラダイム
  お互いが考えていることよりも良いものを考え出そう
 プラクティス:
  1.違いを尊重する
  2.第3の案を探す
他者と協力して1+1を5にも10にもするには、シナジーが必要です。
 
では「シナジー」とは何ぞや?という点ですが、まずは個人間のレベルで「それぞれが考えつかなかったアイデアがディスカッションで出てくること」だと思います。
 
そのためにはお互いの違いを尊重し、互いに否定しないことが重要です。
その延長線上に組織レベルのシナジーがあります。
 
ディスカッション手法の1つである「ブレーンストーミング」でも、重要なのは出てきた意見を否定しないこと、と聞きますね。
自分の意見と違う意見が出てくると「いや、こういう理由で自分が正しい」と論破したくなりますが、それではシナジーにはなりません。
 
自分もビジネスにおいて「こういう理由でこの考えがよいです」と自分の主張を通そうとしてしまうので、相手の意見を受け入れフラットに考えるよう心がけたいです。

第7の習慣:刃を研ぐ

 パラダイム
  日々のあらゆる活動を行う能力を得るために、自分のための時間を取る
 プラクティス:
  「毎日の私的成功」を達成する
最後は、第1~6の習慣を達成するための自己研鑽的習慣です。
コヴィー氏は、人間は次の4つの側面で成り立っており、それぞれの側面で継続的に再新再生しなければならない、と語ります。
  • 肉体(運動、栄養、休息、ストレスマネジメント)
  • 知性(読書、執筆、学習、勉強)
  • 情緒(大切な人間関係における信頼講座の継続的な「預け入れ」)
  • 精神(貢献、価値観の明文化、感動的な文学、瞑想、自然とのふれあい)

これらを鍛える/研ぐためのタスクは、まさに第3の習慣における「最優先事項」となり、第2象限に分類されるものです。

私も週次でこれら4つの観点で目標を立て、それを実施するタスクをスケジュール化するようにしています。

まとめ(私のミッション・ステートメント

いずれの習慣も目新しいことは言っておらず、誰しもに効果が出るとても汎用的なものだと感じました。
これらを習慣化できれば、より効率的に行動できるでしょうし、今までと行動自体は同じだとしても「この基準に則って判断しているんだ」という納得感・安心感が得られると思います。

一時的な知識に留めるのではなく、今後長年にわたって意識していきたい教えだったので、書籍・研修を受けて考えた現時点の私のミッション・ステートメントを記して終わりにしたいと思います。

私は一生懸命、丁寧に生き、知識・肉体・人格全てにおいて常に前進し続ける。

その結果、次の3つを達成する

1.世界に貢献する
 自分の能力・思考を他者貢献に使う。
 そのために、グローバルにスペシャリストである。

2.周囲を幸せにする
 身近な人たちを明るく、楽しく、安心できる状態にし、幸せを感じてもらう。
 特に家族には経済的安心も満たす。

3.後進の育成
 子供が自立できるように生き方、学び方、人格を教える。
 仕事でも周囲に仕事の臨み方、学び方、ノウハウを残す。

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